2020年12月9日水曜日

失敗の本質―日本軍の組織論的研究を読んで(上)

・会議が要領を得ない

・上の命令が不明瞭なため、現場で作戦を考え直す

  結果として作戦無視となる

・戦争準備段階で指導する。実戦中は任せる。

  それが逆になってしまっていた。

・基本的に短期志向 長期志向の視点がなかった

・日本人は帰納的なインクリメンタルな積み上げに強い

・作戦参謀は会議の内容を知られるのも作戦の内容を教えるのも嫌がった

  批判されるのを恐れた?

・練度の高いメンバーの存在

  技術導入を軽視する(レーダーでなく目視優先など)

・余裕のない組織はチャンスをものにできない

  アメリカ軍は侵攻中にテニスをするなど、戦争中でも余裕があった

・日本軍は現場が優秀だが現場の提言を拒否する環境であった

・エリート将校は現場を見ないで作戦を考えた

・豊富な選択肢の欠如

・上の曖昧な表現を自分が有利に勝手に解釈する現場指揮官

・合理性よりも人間関係

・対面や人情を重視する

・必勝の信念などが邪魔をして、堅実路線が臆病者と言われ採用できない。

・顔色で察してもらいたかったなど、明確な命令をしない

・堅実なプランや柔軟な発想が出来なかった

  先入観や必勝の信念など邪魔なものを多かった

・作戦立案者と実行者の認識不一致 

・1度通用したが2度目は無いという発想がない。通用したからずっとそれで行くぞ的な。

・1度決めたルールが細かすぎる。さらにアップデート出来ず、聖典化して改善出来ず。

・技術体系のアンバランス。零戦、大和など突出した機体はあるが他がしょぼいとか。

・兵器が毎回新型になるため、量産が出来なかった。

・日本的集団組織論。人同士の間柄を重視するせいで判断が遅れる。

  スピード命の場合、致命的となる。そして大体がスピード命である。

・学び・工夫をさせず、結果よりも、プロセスややる気を評価

・失敗者を左遷して問題が広がる。そして、いつの間にか戻ってきて要職に就く。

  信賞必罰がなされていない。

・日本軍の最大の失敗は言葉を奪ったことである

・参謀本部の閉鎖性

・人間関係を過度に重視する情緒主義

・強烈な使命感を抱く個人の突出を許容するシステム

・作戦目的はあいまい

・精緻な作戦を実行しうる組織ではない

・自己認識の失敗

・敗けて生き残った高価な体験をした者たちを自決させた(次の教訓とできず)

・日本軍のみが持つ神がかり的な力で最後は勝つと言う精神論

・大兵力・大火力・大物量による戦闘になすすべを持たなかった

・情報機関の欠陥、過度の精神主義

・現実的な見解を述べても、好戦的で声の大きな人の主張が通ってしまう。上司もこれを許した。

・ソ連は日本軍を、兵士は有能。将校は無能と評した。

・トップの作戦内容を部下が理解していない。

  トップが理解してもらおうと努力しない(忖度に任せるスタイル)

・作戦の実施意図が伝わっておらず、作戦に適した編成になっていない

・トップが出撃してしまい、指揮を取ることが出来なかった

・敵に空母がいないという先入観

  情報部隊の軽視

・近代戦における情報の重要性を認識できなかった

・仲間のことを大事に思うがゆえに適切な作戦発令ができず

  結果、かえって大量に死者を出す。捨てることが出来なかっただけ。

・ダメージコントロールの不備(戦闘中に艦船を修理して使えるようにするなど)

・攻撃にばかり特化して、索敵や暗号解読などに力を割かなかった

・補給の大切さが認識されていなかった

・前例である勝利戦法に適応し過ぎたため、新しい戦法に適応できなくなっていた

・ある環境に適応した効率的な組織だったとしても、

  環境が変わって相対的に見て非効率な組織となった場合に

  新しい環境に適応できるのかどうか?

・官僚機構の輸入をしたが、人情や空気を重視するという

  日本風のアレンジを加えてしまって失敗した。

・作戦を実行して失敗する可能性を考えることを、

  必勝の信念が邪魔をして考えられなかった

・少しでも弱気な事を言えばお前は臆病者だとして更迭する

・逆に勇猛果敢なことばかり言うような奴は大失敗したとしてもほぼお咎めなし。

・基本的に責任が明確ではない。

・信賞必罰が働かない

・仲良し人事。実力よりも学歴主義。

  年功序列の中で納得のいく昇進基準が学歴しかなかった

・日本軍は抜擢人事をしなかった

・新しいスタイルで勝ったとしても、評価されない。結果よりも経過を好む。

・基本的に楽観的な見通しを立てる

  厳しい見通しを立てれば、臆病者となるからか?

・陸軍は対ロシア。海軍は対アメリカを志向していた。

  陸軍装備もマイナスでも動作するなど、太平洋の戦いには向かなかった。

・防御や修復の重要性が欠如していた。

  米軍は落とされた空母も修復して戦線復帰させていた。

・練度の高いメンバーが戦死してしまい、練度至上主義の限界が見える。

・小出しして戦ってしまったため、結局敗けてしまった。

・英雄が偉くなり、英雄の考えた方針に異を唱えることが出来なくなった

・事実を誤認することが多かった
  情報部隊軽視のため?

日本軍

目的      不明確

戦略思考    短期決戦

戦略策定    帰納的

戦略オプション 狭い(統合戦略の欠如)

技術体系    一点豪華主義

構造      集団主義(人的ネットワーク・プロセス)

統合      属人的統合(人間関係)

学習      シングルループ

評価      動機・プロセス・学歴

勤務方式    最前線 or 訓練

勤務時の余裕  なし


米軍

目的      明確

戦略思考    長期決戦

戦略策定    演繹的(グランド・デザイン)

戦略オプション 広い

技術体系    標準化

構造      構造主義(システム)

統合      システムによる統合(タスクフォース)

学習      ダブルループ

評価      結果

勤務方式    前線・訓練・休暇

勤務時の余裕  あり


■帰納法(きのうほう)

複数の具体的事実から同一の傾向を抽出して、

結論(推論)に持っていくのが帰納法です。


■演繹法(えんえきほう)

一般的かつ普遍的な事実を前提として、

そこから結論を導きだす方法です。


帰納法があくまでも統計的結果を指し示すに過ぎないのに対し、

演繹法の結論はより真実に近いものと考えられるのです。


■全体構想(グランド・デザイン)

長期的かつスケールの大きいプランのこと。


■シングルループ学習

すでに備えている考え方や行動の枠組みにしたがって問題解決を図っていくこと。


■ダブルループ学習

既存の枠組みを捨てて新しい考え方や行動の枠組みを取り込むこと。


■まとめ

あーあ、と思うことが平気で行われている。

物量で敗けていたので、そもそも敗ける戦いであったとしても、この組織で良く戦っていたなという気はする。

現場が優秀だったのだろうが、上がこんなだと、死んでいった兵士たちが可哀想過ぎる。

また、当時の軍隊で行われていたことが、現在の会社内でも行われている。

日本式組織をどうしたら打破できるのだろうか?

また、日本式にならないように組織を作るにはどうすればよいのか?

最近のDX導入など、人員を減らす・働き方を変えるものをどうするのか?

終身雇用が崩壊しているが、正社員に意味はあるのか?単にコスト高ではないのか?

いろいろなことが、頭を巡ってしまって、まとめられなかったので、今回は気になったこと抜粋となる。

次回記事で、上記を元に、まとめとしたい。

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